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逆流性食道炎

逆流性食道炎について

逆流性食道炎は、胃酸を含む胃の内容物が食道に逆流し、食道粘膜に炎症を引き起こす状態です。高齢になると逆流を防ぐ筋肉が衰えることから、以前は主に高齢者に見られましたが、最近では若い世代でも増加しています。食事の欧米化や生活習慣の変化が関与していると考えられており、特に脂質の多い食事が影響しているとされます。
逆流性食道炎の症状があっても、食道に炎症がない場合は非びらん性胃食道逆流症(NERD)と診断されます。
主な症状の胸やけや呑酸は市販薬でも改善が期待できますが、再発しやすく、長期間の炎症は食道がん(バレット食道腺癌といいます)のリスクを上昇させる可能性があるため、慢性的な症状が続く場合は消化器内科を受診し、専門的な治療を受けることが重要です。逆流性食道炎は予防可能であり、適切な治療と生活習慣の見直しによって再発を防ぐことができます。健康な食生活と生活習慣を実践することも良い結果につながります。

代表的な症状

  • 酸っぱいげっぷ
  • げっぷ
  • 胸やけ
  • 胸痛
  • 飲み込みにくさ
  • つかえ
  • のどの痛み・違和感
  • 胃もたれ
  • 声がれ

など

逆流性食道炎の原因

逆流性食道炎の原因は複合的で、筋肉や蠕動運動機能の低下、腹圧の上昇、消化に時間がかかる、薬の副作用などが影響します。これらの要因が相まり、胃酸が食道に逆流し、炎症を引き起こすことが発症の背景となります。

下部食道括約筋(LES)の弛緩

逆流性食道炎の原因として、下部食道括約筋(LES)の弛緩や食道裂孔のゆるみが挙げられます。

下部食道括約筋のゆるみ・食道裂孔ヘルニア

下部食道括約筋は胃から食道への逆流を防ぐ役割を果たしていますが、加齢に伴い筋肉が衰えてきます。また、横隔膜に存在する食道裂孔がゆるむことで胃から食道への逆流が起こりやすくなり、特に高齢者ではこれが逆流性食道炎の原因となることが多いです。

蠕動運動の低下

逆流性食道炎の発症には蠕動運動の低下と腹圧の上昇も関与しています。蠕動運動は胃の内容物を十二指腸より先へ進める役割を果たしており、低下すると胃内への食物の停滞時間が長くなり、逆流するリスクが高くなります。

腹圧の上昇

腹圧の上昇も逆流を促進します。肥満、不適切な姿勢、妊娠、力仕事、ベルトの使用などが原因です。生活習慣の見直しや体重管理は再発を防ぐために重要です。

内服薬の副作用

内服薬の副作用も逆流性食道炎の原因として考えられます。一部の喘息、心疾患、高血圧治療薬には食道括約筋をゆるめる作用があり、これが逆流を引き起こす可能性があります。症状が薬の影響と関連している場合、逆流性食道炎の症状を抑える薬の併用や、薬の見直しが検討されます。ピロリ菌除菌治療を受けていても逆流性食道炎の症状が現れる場合は、胃粘膜が正常に戻っていることが原因であり、ほとんどは時間とともに改善します。受診時には、服用中の全ての薬の情報を持参してください。

アルコール摂取

アルコールの摂取は、全身の筋肉を緩め、下部食道括約筋も緩めるため、逆流性食道炎の発症を促進します。特に飲酒後に直ちに横になると、症状がより顕著に現れやすいため、注意が必要です。アルコールと逆流性食道炎の関連性を理解し、摂取時の慎重な対応や寝る前の注意が重要です。

検査

逆流性食道炎の状態を確認するために、胃カメラ検査を行います。この検査によって食道や胃の状態を評価します。食道粘膜の状態を詳細に確認できるほか、疑わしい部分の組織を採取して詳しく調べることも可能です。また、食道裂孔ヘルニアや胃粘膜の状態も同時に確認できます。
当院では、内視鏡専門医・指導医である院長が詳細な検査を行っています。さらに鎮静剤の使用により、患者様にとって痛みや不快感が最小限に抑えられるため、安心して受けていただけます。逆流性食道炎に関するご相談や検査については、いつでもご連絡いただければと思います。

胃カメラ検査

治療

通常の逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症は、炎症や粘膜にびらんがない場合であっても治療法は同様です。症状の改善を図るためには、胃酸分泌抑制剤などの薬物療法を行い、同時に生活習慣の見直しを行い再発を予防します。生活習慣の改善には、特に食事内容や飲酒、寝る前の姿勢に注意が必要です。

薬物療法

逆流性食道炎の治療には、主にPPI(プロトンポンプインヒビター)やH2ブロッカーなどの胃酸分泌抑制剤が使用されます。これらの薬物は炎症の緩和と再発防止に効果的です。消化管蠕動運動改善薬、粘膜保護薬なども状態や症状に応じて選択され、医師による処方が必要です。治療は患者の個別の状態に合わせて行われ、炎症が完全に治るまで継続されます。

医師の指示を守って服用してください

逆流性食道炎の治療薬を服用する際には、医師の指示を厳守することが重要です。多くの薬は食後に服用することが一般的ですが、中には食前や食間に服用する必要があるものもあります。特に逆流性食道炎の治療には、食道や胃の機能に影響する薬剤を使用することがあるため、効果の重複に注意が必要です。

薬物治療は症状の解消だけでなく、炎症の改善や再発抑制を目的としています。症状が改善したからといって自己判断で薬の休薬や減薬を行うと、再発のリスクが高まり、粘膜の状態が悪化する可能性があります。

生活習慣の改善

食生活

食事では、胃酸分泌を促進する食品や消化に時間のかかるものを控え、脂肪分の多い食事や香辛料、甘いものを避けることが重要です。腹圧を上げる姿勢や要因も改善し、便秘に対しては食物繊維や水の摂取を意識します。

嗜好品

飲酒や喫煙、過剰なカフェイン摂取も逆流リスクを増加させるため、控えるように心がけましょう。

腹圧

姿勢や体重の管理も重要で、正しい姿勢を保ち、肥満を防ぐためにカロリーコントロールを行います。腹部を締め付ける衣類の使用や力仕事も腹圧を上昇させる要因となるため、食後は避けるようにします。

睡眠

睡眠においては、食後に2時間経過してから就寝し、特に飲酒時は上半身を高くして寝ることで逆流のリスクを軽減できます。